昨年11月に長寿の研究で有名な京都大学名誉教授・家森幸男先生と座談会でお話しをする機会があり、とても楽しい貴重なひとときを過ごしました。テレビでもおなじみの顔でいつもにこにこと周りの人たちを楽しくさせてくれる暖かい人柄、忙しいお仕事の中、お会いすることができてとてもうれしく思いました。
現在、マスコミでは、健康番組が大変多く見られますが、長寿に関する番組も多くなっています。その中で家森先生のお顔を拝見する機会がたびたびありますが、長寿の研究では大変なご苦労があるにもかかわらずいつもにこにことお話なさる姿には驚くばかりです。
最近「カスピ海ヨーグルトの真実」という本を書かれ、大変に好評でその中に書かれているヨーグルトについてはブームを引き起こしたといってよいでしょう。
家森先生は、今から40年ほど前、京都大学医学部を卒業後予防医学の研究のために「脳卒中を起こすラット」を作ろうと、来る日も来る日もラットとの格闘の日々で5年の歳月を費やしました。そこから高血圧と血管、摂取する食物の関係を研究されたそうです。そのころ小学生だった娘さんは「お父さんはねずみのお医者さん」と言っていたそうです。そして「血管の老化は予防できる」という確信の元に研究を続け、「長寿と食」が生涯のテーマとなったそうです。
長寿の研究のために世界25カ国、60地域を巡り、長寿の人々の生活ぶりを調べ、毎日の食事から血液や尿までを採取して、日本へ空輸するのです。一口では語れない涙ぐましいばかりの努力をなさって研究を続けてこられました。それはまさに人々の健康と幸せを追求するという信念に裏うちされた行動といえるでしょう。
世界の長寿地域を巡る中で特に印象に残ったのが、マサイ族との出会いだったそうです。タンザニアの農村で検診をしているときにマサイ族の青年が自分たちも「検診を受けてみたい」と槍を手に申し出てくれてマサイ族の住むキリマンジャロへ移動したのだそうです。血圧を測ってみると高血圧の人がほとんどいません。血圧計が壊れたかと家森先生自身の血圧を測ると緊張のためひどい高血圧。マサイ族の「魂といわれる血液」を抜くことで槍で刺されるかもしれないという恐れがありましたが、それは危惧に終わりました。マサイ族は朝早くから草原を走り回り午後ゆっくりと1日1回の食事を摂るという生活で、高血圧や動脈硬化とは無縁でした。
家森先生のご活躍がますます私たちの健康と長寿を引き出してくれていることを痛感しました。さらなるご活躍をお祈りしています。
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