こんないかめしい肩書きよりは、下村満子さんといえば、鋭い視点でアメリカ、ヨーロッパ、アジアを駆けめぐりながら、女性問題、教育問題などさまざまなジャンルで朝日新聞の論説を書き続けてきた女性といった方がずっとなじみがいいでしょう。
彼女がこの財団のトップに入って5年ほどだということですが、今まで固い専門家向け、医者向けのシンポジウムだけをやっていたのを彼女の先見の明のある発言とリーダーシップで今年から一般の女性達や家庭人にもわかるようなシンポジウムをマリオンで開きました。
これは、創立110周年の記念シンポジウム「食の安全と健康を考える」というテーマのシンポジウムでした。私もその中にパネリストとして参加し、農業大学の小泉武夫先生や、女子栄養大学教授の村上紀子先生など非常に明るくて爽やかでしかも、問題意識の高い先生方がならび、さすが下村さんらしい人選だと納得させられました。
日本人の食文化が崩れつつある一方で、食品の安全性については、「腸管出血性大腸菌O-157食中毒事件」「異物混入事件」「雪印乳業食中毒事件」「国内における牛海綿状脳症(BSEいわゆる狂牛病)陽性牛の発見」「雪印食品牛肉産地偽証表示問題」など、続発する食品事件・事故により消費者の不安や怒りは高まるばかりの最近です。そうした意味では、とても問題に肉薄できたシンポジウムだったといえます。
いずれにしても、問題を解決することはそうたやすくはありませんが、いつでもこうした情報をよく理解してパニックを起こさないこと。そして、小さな子がいたり、妊娠中だったら安全性の高いと思われる生活クラブや、生活協同組合などに加入しながらより安全性の高い(あくまでも相対的な安全性)と思われるところから購入することや、素材だけを買って加工食品をできるだけ減らして手作りの食生活を心がけるのがベストな方法といえるでしょう。
この「食の安全と健康を考える」のシンポジウムの詳細を知りたい方は、健康事業総合財団(http://www.kenko-kenbi.or.jp/)にアクセスしてください。
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