静かなというのは、この街では"じかた"と称する胡弓と三味線の軍団、および、唄い手はまったく文明の力であるマイクや、拡声器を使わないのです。だからこそ小さな街のあちこちで静かに近づいてきた風の盆の踊りと歌はクライマックスを過ぎると闇の中にいつしか消えてしまうという静けさがあるのです。これはいくら言葉で説明しても、見に行かなければ伝わらない不思議な感動です。
私も一生に一度と思って行ったのですが、どうもやみつきになりそうな気配。そしてこのお祭りに十年間通い続けているある夫婦に聞いてみたら、小さな八尾町には旅館というものはまったく存在せず、普通の民家に泊めてもらうのに素泊まり(1泊70,000円)を払っているという話を聞き、再びびっくりしたものです。踊れるのは青年男女15歳〜25歳までと制限があり、それがまた初々しさとかぐわしいほどの初々しい色香となって見るものを魅了しているのかもしれません。
おもしろいことに、ここの15歳〜25歳までの男女どの1人をとってもみんな踊っている時は、このうえなく美しい。物心ついた時からステージに上がり、観光客のフラッシュを何万回と浴びているうちにこの三日間ばかりは、15歳〜25歳までの男女はすべての人がスターであり、スターの輝きを放っているのです。しかもそれは、素朴な伝統に培われた、そして一方では厳しい練習に耐え抜いた輝きでそれがまた美しいんですよね。是非、来年は行ってみませんか?
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