WSF2004



菅原:ちょっと難しいお話を聞きたいのですが、Tセルの赤い免疫ってのがありますね、それって今まで従来にはなかった発想で、それが活発に動いてくれることはいいことなのか悪いことなのかがちょっとわからないんですけど、どうなんですか?
安保私たちのリンパ球は胸腺で作られるT細胞と骨髄でつくられるB細胞からなるんですけど先天的に胸腺が欠損したマウスでも不思議なT細胞が少数ながらあったんですよ。私の研究が進むまではたぶんTになりぞこないの前駆細胞じゃないかっていわれてたんだけど、それが独特の性質があって肝臓と腸で作られてたんですね。さっきいったように、胸腺でとか骨髄っていうのは生物が上陸するまではなかった免疫臓器なんですよ。魚はえらで呼吸して最終的にえらから胸腺が進化します。後、骨髄は魚の骨をガリってかじっても中には骨髄ないですよね、骨だけで。で、造血は骨髄じゃなくて肝臓でつくられたり腎臓でつくられてたんですよ。
菅原:例えば、タコとかイカが免疫力を持ってるとしたら、それはさっきおっしゃっていたような免疫なんですか?
安保:リンパ球ってかたちの免疫はまだ軟体動物にはないですね。
菅原:何があるんですか?
安保:軟骨魚類あたりからリンパ球の進化がはじまったんです。その進化の場所は、腸が基本なんですよ。
菅原:ということは、私たちが今考えている以上に腸の免疫はすばらしく大事だということになるんですよね。
安保そう、基本中の基本ですね。後で生物が上陸して胸腺、骨髄ができて上乗せされて、年をとってくると胸腺がちじまるのはみんな知ってますけど、それでも本当にリンパ球はなくならないですよ。最後まで守ってくれてるリンパ球が私たちがみつけた肝臓腸管でできるリンパ球だったんですね。
長峰:それが明子先生がお聞きになりたかったことなんですか。
菅原:
そうそう、世界で初めてねそういうふうな胸腺外リンパという、そういう新しい考え方を科学的に立証して、それで学問としてまとめられたんですけど、でも、聞いたことがなくて、従来はそういうのはなってのが常識でして。
長峰:なかったわけですよね。
菅原:そう、年とったら終わりという…。だから、年とったら胸腺が縮むんでどんどんだめになってガンになるからもう諦めなさいよって感じだったんですよ。
長峰:でも、それってとってもつらい話ですねぇ、それが普通だったてのは・・・
菅原:そうなんです、だからマウスとかラットで実験してもどんどんストレスを与えると萎縮するんですよ。それで、どんどんアドレナリンでて最後はもう、グジュっとなっちゃってね、それでガンにもなるしね、それから、コレステロールなんかたまって脳血栓とかね、そういう実験はずうっとやってきて全部今までの考えではストレスがかかると縮むんだという事しか知らなかったんです。
安保免疫系は進化したTセル,Bセルの世界と、それがきいても最後の防御として残るふるい免疫系といっしょになっているんですよ。
菅原:子供のころはそのふるい方は使ってないんですか?
安保使ってないですね。大体、人でいうと二十歳過ぎたころからですね少しずつ増えるって感じですね。
長峰:二十歳過ぎたころから少しずつ増えて、それでどうなっていくんですか?
安保細胞は胸腺とか骨髄で作られるリンパ球を超えるって形で増えて、
菅原:リンパ球の数でいうと、その、全体の6割が顆粒球で4割がリンパ球なんですよね?
安保はい。
菅原:そうすると年をとった時にはそのリンパ球のその中の胸腺外がなん%ぐらいになるんですか?
安保最大、特に沖縄の100歳老人で調べるとですね、胸腺外分化の方が7割ぐらいになるんですね、リンパ球の。だから最後の最後まで独特の免疫で防御されているって事です。
菅原:じゃ、長寿の人は腸管免疫とかそういう肝臓からの免疫が非常にうまく働いてる人って事ですよね。




菅原:中心静脈栄養ってここを切って、そして点滴チューブを入れて、それで栄養補給だっていってガンの人とかよくやりますよね。
安保そうそう、それやると触覚が使われなくなるから、いっきに終わってしまうわけです。
長峰:でもそれを病院行くとやらされてしまう・・・
菅原:しかし病院に行って抗ガン剤うちながら点滴をするのが普通のやり方でしょ。あの点滴って実はあまり栄養バランス良くないですよね。
長峰:え!そうなんですか?
安保結局人間がやる事って限界があるんですよ。いくら成分より集めても私たちの知らないバランスってのはまだまだ世の中にいっぱいあるんですよ。だから未精製の穀物とかをとりなさいってさっきお話あったと思いますけどね。
菅原:そしたらその中心静脈から入れる点滴の輸液というか、本来持ってる免疫力をガタガタにするから例え抗ガン剤じゃなくてもそれは自分で食べた方がいいって事なんですか?
安保そうです、だから進行したり末期になった患者さんでも口で食べれるうちは頑張りなさい!ってことなんですよ。そうすればまた盛り返すきっかけできるから。
長峰:でも口でなかなかお医者さんが食べさしてくれないっていうのが現状ですよね、そういう時はどうしたらいいんですか?
菅原:そうですねー、やはり今の病院食っておいしくないでしょ、冷たいし、なんていうか、それこそハートフルな食事じゃないですよね。だから、食べたいっていう食欲が出なくて、残す量が増えたら、もう点滴にした方がいいって感じにすぐ判断されちゃうんですよね。
菅原:そういうのは変わらないですか?
安保まぁ、だんだん腸管免疫の概念が普及すれば変わっていくと思いますけど。 例えば、お医者さんにキノコを食べるっていうと、そんなもので免疫高まるわけがないと、そういう反応になっちゃうんですよね。やはりそういうのが腸管を刺激する時間が長いって概念は医学の世界にまだ定着していないですね。

  菅原:医学部の学生さんは栄養学とかを習わないでしょ、まったく授業ないですよね。それが変わらないとやはり最初から臨書検査して数値が上がったり下がったり、リンパに関してもいろんな指標があるから、それを診断できる力が医学の力っていうふうに今なってますよね。
安保ええ、私たちの体を検査値で調べれる判断力ってたいしたことないですよね。やはり、本当に私たちがその人の病態がわかるのは顔色が悪いとか体温が低いとか、あるいは姿勢が悪いとかでしか判断できないし、やはり筋肉とか骨格がきちんと使われてないとダランとなるんですね。

長峰:それでいいんですか?私姿勢だけはいいんですけど、生きる姿勢はあまりよくないんですよね。
安保いや、姿勢のいい人は生きる姿勢もいいんですよ。
長峰:え!ありがとうございます。
菅原:先生も姿勢がよろしいですよね。
長峰:そうですねぇー、そういえば両親にいわれてきたなぁ、結局そういう単純なことでいいわけですか、実は。
菅原:小さいときに家庭で姿勢をよくしてお茶碗と箸をきちっと持って姿勢がよくて食べないとだめだよっていう教育が家庭でされていると、大人になってね、ずっと免疫が高くて、それで結構お薬使わないで病気じゃない世界で生きていくことの時間がすごくとれるわけですよね。だから最初から「学校行くんならドリンク剤のんでから行きなさい!」みたいなね
長峰:今そういうの多いですよね。
菅原:そうそう、「早く飲んでから行け!」って、何を飲むかと思ったら子供用ドリンク剤なんですよ、恐ろしいですね。
長峰:恐い、おじさんみたいな事してますからねぇ。だから顔色悪いとかも、顔の色なんてね、そんなにわからないと思うけどやはり顔色ってあるんですね。
安保ええ、顔色が悪い、低体温、で戦う力がないっていうのも全部繋がっていますからね。




菅原:リンパ球って悲しいとか、すごく辛いとか不安だとかってのにすごく反応するって事は結構リンパ球って感情的なんですかね?
安保そうだと思いますね。肉体的な無理ではそんなに減らないんだけど、本当に不安とか怯えとかの減りはすごいですよ。
菅原:例えば今ガンになったときに、あなたの余命は4ヶ月とか、いわゆる今の医療界では非常に不安と恐怖を与えることをパパっと平気でいいますよね。
安保なぜそんなひどい事をいう様になったのかというと、やはり治療が間違ってまして、そのぐらいひどい事をやらないと自分のやっている事とバランスがとれなくなってしまうんですよ。
菅原:つまり早く死ぬように指示をしているわけですね。
安保ええ。やはりどんどん悪くなってご飯食べれなくなって治療をやっている先生にとっては脅かしてくおくしか権威を保つ力はないわけです。
長峰:先生方!それが現状ですか!?
安保はい。
長峰:ハァーッ!?でも患者さんは気の毒ですよ、家族も…なんとかしてくださいよ!
安保だから、本書いたり講演しているわけです。
長峰:あ、そうだ。それで今日があるわけですよね。でもそしたらお医者さんたちは本当に考え方を変えていただかないと…
菅原:やはりお医者さん自身のハートっていうんですか、そのハートの部分で一緒になって安心を与えようっていう気持ちの医療なのか、死んじゃったら「これで私の責任は果たしたんだから後は勝手にやって!」みたいな医療なのか、やはり両方いらっしゃるでしょ?
安保私は「医者は単なる人格を磨け」とか、「医者はすごい感性を持たなくてはだめだ」ってだけでは納得できないですよ。そこんとこに必要なのが今日話したような生態の自律神経調節とか白血球の伝道とか、そういうもののきっかけがないとですね、漠然とした人格形成だけではたどりつけないです。

菅原:今、白い巨頭大好きでずっと観てるんですけど、あのドラマでもやはり「これでないと治らないよ」っていうすごい高圧的ないい方で、「そうじゃないんならどっか行け」みたいな、「自分は権威があるんだから自分のいうことが正しいんだ」みたいなのはありましたよね。そういう流れからそのオプションとしてaもbもcも治療方法があるよっていう人はどんどん増えつつあるんですか?  

安保ええ、だんだん広がってきてるんだけどそのときにやはり新しい考えがでたとき一番保守的になるのは今までやってきたお医者さんなんですよね。だからやはり一般の人が理解示して賢くなるのって一番しがらみがないからやりやすいんですよ。だから、単にお医者さんの考え方が改まるまで待つんだったら時間かかりすぎますよ。
長峰:その間に何人の方が不幸な思いをするかわからない。
菅原:じゃ、免疫療法を私はしたいんですって事をお医者さんにいう勇気っていうのも大事なわけですね。
安保ええ、だんだん周りでそういう雰囲気が多くなると、だんだんいいやすくなるでしょう。
長峰:そうですよね。
安保そうですね。一年前と今年ではガンの死亡率が随分違っていると思いますね。今まではやっと2年3年かかって死亡率がゆっくり上がってきたんですけどね。最近急に上がりだしたんですよ。
長峰:今上がっていますか。ずっと。
安保うん、何で急に上がりだしたのかというと、やはり治療法が間違ってるときに診断力だけ一人前で早期発見をすると治るべき人も治らなくなってしまうんですよ。
菅原:そしたら、例えば「あんたはガンだよ」っていわれないまま一生ガンをかかえて生きている人のほうが幸せで、しょっちゅう人間ドッグ行って早期発見で発見してもらって、向こうはすごい心を込めて発見してくれるんだけど知らぬが花なんですか?
安保そういうことです、だから治療法が間違ってるときはね、早期発見は必ずマイナスにでるんです。
長峰:それは治療法が間違ってるときであって正しい治療法だったら…
安保だったら早期発見してもプラスになりますけど。今滝の森に患者さんが増えている病気が5つぐらいあるんですよ。一番典型的なのが今いっているガンなんですけど、後はB性皮膚炎、気管支喘息、透析患者、潰瘍性大腸炎、これ全部診断技術は進歩しているのに治療法が間違ってるって病気です。
菅原:治療法とちゃんと診断法が両方ちゃんとしない限りはほっといてもらいたいですね。
安保ええ。
菅原:私はほっといてもらいたいなと思うので、死ぬときは死ぬから、人間ドックいやって感じですね。
長峰:ハハハ、ほっといてもらいたい派ですか。そうですか・・・、検診とか人間ドックとかは?
菅原:30年行った事がないです。
長峰:えー!
安保結局ね、ガン検診は一人の患者さんの診断にたどりつくために精密検査をガンでない人20人ぐらい検査するんですよ。
N:20人検査して一人・・・
安保すると19人がすごい恐怖に怯えるので発ガンするんですよ。
長峰:すごい!!それでガンになってしまう(笑)!とんでもない迷惑ですね。
安保そうそう、やはりね私たちガンの疑いで精密検査の通知をもらったときの恐怖感ってすごいですよ。
長峰:はい、そうだと思いますよ。

  安保私、ちょうど40歳から公務員はガンの審査とか無料になるんで記念だなと思って40歳のときやったんですよ。そしたらそのとき、すごいストレスになって胃が荒れてたんですよ。それで胃が疑いの精密検査っていきて、で、結局40歳でしょ、で、子供たちまだ小さくて家族にもいえないし、やはり精密検査するまでの3週間は本当悩むんですよ。
菅原:3週間もあったらガン細胞って増えられますよね。
長峰:そうですか。

安保だから運良く発ガンしなかったけど、やはりある頻度で発ガンするの。だから検診グループが必ず発ガン率たかくなっているの。
長峰:すっごい、そういう事だったんですか・・・じゃ、今までこれが正しいと思っていたことが実はそうじゃなかったって事ですね。
菅原:そうですね、例えば江戸時代なんか、明日死んでもおかしくないって人が乳がんの、普通だったらとっくに死んでいる人が普通に生きているって話がでてるんですね。江戸時代はそうだったのかもしれないですね。
安保あのね、時代とともに病気の重傷度とか進行度とかが変わるってのも理解しなくちゃだめなの。例えば戦争の前後っていのは日本がすごく貧しかったからひもじさとか重労働ですごく交感神経緊張状態の生き方を日本人が強いられて、すごく寿命も短いし、ガンになったり膠原病になったりすると進行が早くて手がつけられないって時代があったんですよ。ところが今は重労働から開放されて、ひもじさはない、家に帰ってもずっと温かいでしょ、そういう状態ってのは交感神経緊張状態にならないからね、寿命は延びるし病気の進行が遅いんですよ。そういう時代の編成ってのを理解しないとガンが恐いものだって印象が強すぎておびえちゃうんですよ。
菅原:今は夫婦仲がいいとか親子が仲良だからガンでも大丈夫みたいな気持ちがあるような家族だったり、友達でいろんな勉強してる人が側にいるといいけど、「大変だ、明日死んじゃう。」みたいに家族で大騒ぎするような家だと、家族によって殺されちゃう。
長峰:あー、そうなんですか・・・
安保やはり今はストレスってのは重労働とかひもじさがストレスじゃなくて、企業の競争でちょう時間労働するとか、あるいは大事に育てられた日本人が人間関係で苦しむっていうストレスの方が圧倒的に多いんですよね。それはやはり、ある意味では、環境を変えれば逃れられるストレスだからいくらでも病気から逃れられる道は残されているわけです。

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