レギュラー番組/菅原明子の「エッジトーク」

●ゲスト---親鸞研究の第一人者、本龍寺(東京・台東区)住職の本多弘之さん
≪放送日 2009年5月13日(水)・5月20日(水)23:00~23:30 ラジオ日本≫


『他力本願』・・・この言葉を聞いたことがある。あるいは、使ったことがある。という人は、結構、多いのではないだろうか?
でも、言葉の起源はもとより、本来使われるべき意味を理解している人は、どれくらいいるのだろうか?

今回2週にわたってお送りしたのは、『他力本願』をはじめとする浄土教の教えを広めた「法然」の弟子でありその法然の教え(浄土宗)を継承発展させた浄土真宗の宗祖といわれる「親鸞」を研究する第一人者であり、ご自身も本龍寺(東京・台東区)の住職である本多弘之さんです。

本龍寺にて伺ったお話は、本多さんが監修された『知識ゼロからの親鸞入門』(幻冬舎)と同じく大変わかりやすくやさしい内容でした。


「悪人は救われると説いているのは、なぜですか?」(菅原)
「悪人という言葉の捉え方が違う。浄土真宗で言う善人とは、自分は善いが、他人は悪い、自己肯定、他人否定、つまり自分のことを批判できない人を言います。人間は、迷いの命を授かります。生きていること自体が悪人なのです。親鸞は、命あるものは傷つけあい迷惑をかけあいながら生きていると説いています。自分が生きていることの罪、因縁の中に悪いことをしてしまう、それを気付くことが救われる。」(本多)
「勝ち負けはない。誰もえらくないということですね。」(菅原)

「他力本願の誤解」について、本多さんは、「自分の力になっている背景は自分の力ではない。すべて与えられたものであり、与えられた中に命がある。もっと大きな眼から見て人間は同じであり、人間は照らされる側なのです。他力本願の他力とはそういう大きな力のことです。」(本多)

親鸞は、日本人の人生観、死生観の基礎をつくったともいわれる。

「(浄土真宗は)死んでからしか助からない死後往生ではなく、現生の救いを説いています。」(本多)

オウム真理教による地下鉄サリン事件の際、オウム真理教の信者が、警察に対してビデオカメラを向けながら「地獄に落ちる」と言っていたのは、地獄が怖いという恐怖心があったからだとも。
「(宗教に)引入れるために、宗教を持たないと助からないという時代があったが、近代はない。生きていること自体が感謝に変われば恐怖心は無くなる。」(本多)

本多さんの「人間にとっての大切なことを教えるのが宗教」という教育的な見方はとても新鮮でした。


今回のエッジトークの内容がより詳しくわかるのは、本多弘之さん監修の『知識ゼロからの親鸞入門』(幻冬舎)です。親鸞の一生、時代背景、言葉、思想をグラフィックを多用することで、宗教が難しいと思っている人たちにもわかりやすく解説しています。ぜひ読んでみてください。

次回のゲストは、鷲田清一さんです。5月27日(水)・6月3日(水)23:00~23:30・ラジオ日本「菅原明子の『エッジトーク』をお楽しみに!