若いうちに世界の名作、日本の名作を読んでおくことは、やがてその人の血となり肉となり「教養」という一生の財産になることはいうまでもありません。ところが、名作たるもの、言葉が難しいうえ、イマドキの感覚でいえば“面白い”というものではありません。
そうして遠ざかっているうちに年をとり、逃してしまった作品も多いのではないでしょうか。
今日のゲストは、イースト・プレスの圓尾公佑さん。シリーズ28作で140万部のベストセラーとなっている、「まんがで読破シリーズ」の編集者の方です。このシリーズは、『学問のすすめ』や『蟹工船』、『罪と罰』『戦争と平和』などの名作をまんがで再現して大人気。
なかでもマルクスの『資本論』は、イギリスの『タイムズ』紙やBBC放送でも紹介され、それをきっかけに世界10カ国から翻訳出版の打診を受けているそうです。
どれも、原作に偏った解釈を加えることなく、マンガによって絵にすることで行間の味わいまでも伝えている素晴らしいシリーズです。
1冊たった580円(税込)で、名作が30~40分で面白く読めてしまいます。しかし、その陰では、本をつくる立場としての苦労もたくさんあるでしょう。
「まんが化するにあたっては、その作品のどの部分をどう切り取っていけばいいか。しっかりと読み込まなければなりません。一つの作品を読むのに、2カ月はかけますね」(圓尾さん)。そして、表現が偏らないよう、できるだけ多くの評論を読むようにしているのだとか。
「まんがで読むことによって済ませてしまうのではなく、まんがをきっかけに原作に興味を抱き、そこに至る入口になることが本シリーズの狙いです。楽しく簡単に読めますからみんなで読んで、家族で話題にしてもらえればうれしいですね」。
大丈夫! わが家では、息子も娘もシリーズのほとんどを読んでいて、にわかに教養を身につけたかのように、名作のストーリーや出てくる名言について賑やかに披露しあっていますよ。
お話の続きは、3月4日(水)・3月11日(水)23:00~23:30・ラジオ日本「菅原明子の『エッジトーク』でどうぞ!