これまで、わたしは機会をとらえては、「人の健康をつくるのは食べもの。健康が損なわれたとき、元の状態に戻せるのも食べものの力」ということをお話してきました。では、脳と食べものはどんな関係にあるのでしょうか。
そんなお話をうかがいたくて、今日はゲストに薬学博士の生田哲さんをお招きしました。生田さんはアメリカで遺伝子の構造研究や薬の開発に携わっていらっしゃいましたが、最近では『食べ物を変えれば脳が変わる』(PHP新書)をはじめ、栄養素と脳の関係を研究し成果を次々と出版しています。
きょう、重点的にうかがったのは、アルツハイマー、うつに関しての食べものと脳の関係でした。とくにアルツハイマーは高齢になるほど発症率の高まる病気ですから、高齢化がどんどん進む日本では、近い将来、患者数の激増が予想されます。
生田さんから出てきたのは、ビタミンE、ビタミンC、そしてDHAと、細胞の酸化を防止する栄養素のお話がメイン。こうした抗酸化力の強い栄養素は予防医学を考えるときにカギとなりますが、脳の健康にとっても必須のものなのです。
アメリカでは青ざかなを食べる習慣がありませんから、さんま、いわし、さばなどに含まれるDHAを日常の食事からとることはできません。そこで、サプリメントが飛ぶように売れているのだそうです。その点、日本人は幸せですが、若い世代がさかなから遠ざかっている今日、その行く末が心配になります。
長くアメリカで研究をしてきた生田さんですが、たまに日本に帰った際に本屋さんをのぞき、サイエンスを一般国民にわかりやすく解説する本があまりに少ないことに気づいたのだとか。また、アメリカでは研究のために莫大な税金を使わせてもらうので、なんらかの形で社会に還元しなくてはと、多くの科学者が考えているのだそうです。
そんな執筆動機をうかがいました。脳のしくみはまだまだ解明されていない領域の多い研究分野ですから、生田さんの今後の研究と著作がたいへん楽しみです。
お話の続きは、1月21日(水)・1月28日(水)23:00~23:30・ラジオ日本「菅原明子の『エッジトーク』でどうぞ!