いつの間にか、環境にやさしい生活をするのが美徳とされる社会ができあがりました。ペットボトル、プラスチックゴミ、粗大ゴミ……と、わたしたちは、毎日毎日、ゴミを分別して出しています。
しかし、そうして国民が分別にエネルギーを使ったゴミの行方をご存知ですか。ペットボトルやアルミ缶は、ほんとうにリサイクルされて有効活用されているのでしょうか。
今日のゲストは、3巻のシリーズで50万部を超えるベストセラーになった『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』の著者、武田邦彦さんです。武田さんは材料工学研究の専門家ですが、科学的な視点から環境問題に取り組んでいます。
「1990年代までの環境問題には被害者がいました。ところが、それ以降の環境問題には被害者がいないのです。つまり、地球が危ないという話をつくり、それによって利権を得る人たちが先導している環境問題といえます」(武田さん)。
うかがったお話の一例をあげると、リサイクルのために日本の自治体は年にして4200億円ものお金を使っているそう。ところが、たとえばペットボトルにしても、回収された量のわずか6%にも満たない量しか再利用されていません。
著書のなかで、武田さんはこうした事実を客観的なデータをふんだんに使って告発しています。「最近では、主婦の方々も真実を知りたいと、興味をもってくれるようになりました」。
資源の有効活用、地球温暖化の防止……と声高に叫ぶ人は多くいますが、「目的をもって発言する人の話はより注意深く聞いて、自分の頭で判断してほしい」と、武田さんはいいます。
数年前、わたしが調査したときのスイスでは、ゴミを分別するか否か、人々が投票によって決めていました。分別が行政によって決められる日本とは大きな違いです。また、自分たちが出したゴミの行方について、多くの人々が関心をもって見届けていました。
自分が地球を守るためにできること――。それは、自分がした、分別という行為の行く末をきちんと見守ることにあるのではないでしょうか。
お話の続きは、12月17日(水)・12月31日(水)23:00~23:30・ラジオ日本「菅原明子の『エッジトーク』でどうぞ!