今日のゲストは、16歳でモンブランに登り、25歳という当時最年少の若さで世界七大陸最高峰を制覇したアルピニストのアルピニスト、野口健さんです。
最近では、エベレストや富士山などの清掃登山を精力的に続ける一方、テレビのバラエティ番組などでユーモアに溢れた軽快なトークを繰り広げていらっしゃいます。ファンの方も多いことでしょう。
山というロマンを追い求める情熱、山のゴミ収集という環境保護に密接した行動力、そしてハンサムで爽やかな個性の持ち主……。そんなイメージがぴったりくる野口さんですが、今日のお話からは、これまでなかなか伝わってこなかった、野口さんの骨太の人間力を知ることができました。
登山には、万端の準備をしても避けられない事故、そして仲間の死がつきまといます。「山での死は、きれいなものじゃないんです。遭難して発見されるのは、たいてい数カ月後。死体は傷つき、腐敗が進んでいます」。10代のころから数々の死を見届けてきたからこその人生観、登山観のお話は、時間が進むのが惜しいくらいの密度でした。
とくに感動したのは、お父上のお話。野口さんのお父様は、イエメン、チュニジアなどの大使を歴任した外務省の高官です。高校時代、ご本人いわく成績が悪く落ちこぼれ、将来の夢を見失っていた野口さんに、こうおっしゃったのだとか。
「大使という肩書きは、退官したら失ってしまうもの。あなたは、『野口健』という肩書きで一生を生きられるような道を行ったらどうか」。
なぜ、内臓疾患や血行障害と闘いながら、まさに命がけで登山、清掃登山をあれほどまでに情熱的に続けることができるのか。その理由が少しだけわかったような気がしました。
お話の続きは、11月30日(日)15:00~15:30・BS朝日、12月7日(日)9:30~10:00・再放送「菅原明子の『一期一話』でどうぞ!