「フードバンク」という言葉をご存知ですか? 賞味期限はまだずっと先であるにもかかわらず、包装の傷などの理由で廃棄されてしまう食品を回収し、食べものを必要としている人々に無償で再分配する活動です。
発祥の地、アメリカでは、すでに40年の歴史がありますが、日本でも「セカンドハーベスト・ジャパン」という非営利活動法人の活動によって根づきつつあります。今日のゲストは、それを設立し、現在、理事長として活動を推進しているチャールズ・E・マクジルトンさんです。
国立環境研究所の統計によると、わが国の食品廃棄物の量は年間およそ2万トンにも上ります。飼料や肥料としてリサイクルされているのは、そのうちの25%にすぎません。その一方で、日本は人口の15%もの人々(OECD/経済協力開発機構による)が明日の食べものにも事欠く貧困にさらされているのです。想像してみてください。生徒40人の学級があったら、6人もの生徒の家庭は貧困なのです。
「日本で食べものに困っている人というと、ホームレスの人たちを思い浮かべるでしょうが、それだけではありません。母子家庭の母・子、高齢者たちが貧困にさらされています」と、マクジルトンさん。現代の日本では、日常にある身近な問題であると同時に、自分の将来の問題でもあるのです。
マクジルトンさんが日本でフードバンクの活動を始めるようになった経緯、それを定着させたプロセスなどをうかがいました。上智大学での学生時代、台東区・山谷地区で生活したり、ご自身が1年以上も路上生活をしてホームレスの人々の現状や考え方を学んだといいます。
感動的なお話に溢れた収録になりました。
「困った人々を助けたいと思って活動しては、続けることができません。自分がやりたいことをやり、自分が何を得るかが大事。活動を定着させるためには、ボランティアの側面だけではなく、ビジネスの側面も大切なのです。それによって企業から信頼され、食料の供給や活動資金の寄付をいただくことができ、安定的に活動を続けられるのですから」。
ボランティア――自分ができるときにできることをやる――だけでは、「できないとき、やりたくないときにはやらない」になりがちです。マクジルトンさんの言葉の端々から、この活動がきっと拡大していくという希望と、拡大させていくという強い意志力がたしかに伝わってきました。
お話の続きは、10月19日(日)15:00~15:30・BS朝日、11月2日(日)9:30~10:00・再放送「菅原明子の『一期一話』でどうぞ!